香港の将来と特別行政区構想

真水 康樹
1996.6.8

報告は、おおきく二つの部分、すなわち、「Ⅰ、一九九六年上半期・香港情勢」と「Ⅱ、特別行政区構想」によって構成された。
「Ⅰ」では、香港返還過程における中国側の権力機関である香港特別行政区準備委員会について、その九五年末の成立から、九六年五月の第三回全体会議までについて詳細な分析が加えられた。特に、第一回全体会議については、主任委員会議のもつ強大な役割と、それが体現する民主集中性の原則、そしてその人的構成の中国的バランスの妙が指摘され、これに続いて、九六年後半の香港情勢の展望が紹介された。
また、「Ⅱ」では、特別行政区構想が一国二制度構想に先立つのであってその逆ではないこと、香港特別行政区基本法と人権法および中華人民共和国憲法との関係、香港返還のマカオ・台湾問題との関係などについて理論的な紹介がなされた。
なお、この報告の内容は、「香港特別行政区成立前夜の一考察(一)(二)」『法政理論』(新潟大学法学会)第二九巻 第一号・第三号(一九九六年八月、一九九七年二月)の一部をなす。詳細については、両論文を参照されたい。


第6号目次