八十四声図第八(*)
(【原注】正律正声は墨書、正律半声は朱書。変律正声は朱書、変律半声は墨書(*))
十一月 | 黄鐘宮 | ||||||
六月 | 林鐘宮 | 黄鐘徴 | |||||
正月 | 太簇宮 | 林鐘徴 | 黄鐘商 | ||||
八月 | 南呂宮 | 太簇徴 | 林鐘商 | 黄鐘羽 | |||
三月 | 姑洗宮 | 南呂徴 | 太簇商 | 林鐘羽 | 黄鐘角 | ||
十月 | 応鐘宮 | 姑洗徴 | 南呂商 | 太簇羽 | 林鐘角 | 黄鐘変宮 | |
五月 | 蕤賓宮 | 応鐘徴 | 姑洗商 | 南呂羽 | 太簇角 | 林鐘変宮 | 黄鐘変徴 |
十二月 | 大呂宮 | 蕤賓徴 | 応鐘商 | 姑洗羽 | 南呂角 | 太簇変宮 | 林鐘変徴 |
七月 | 夷則宮 | 大呂徴 | 蕤賓商 | 応鐘羽 | 姑洗角 | 南呂変宮 | 太簇変徴 |
二月 | 夾鐘宮 | 夷則徴 | 大呂商 | 蕤賓羽 | 応鐘角 | 姑洗変宮 | 南呂変徴 |
九月 | 無射宮 | 夾鐘徴 | 夷則商 | 大呂羽 | 蕤賓角 | 応鐘変宮 | 姑洗変徴 |
四月 | 仲呂宮 | 無射徴 | 夾鐘商 | 夷則羽 | 大呂角 | 蕤賓変宮 | 応鐘変徴 |
黄鐘変 | 仲呂徴 | 無射商 | 夾鐘羽 | 夷則角 | 大呂変宮 | 蕤賓変徴 | |
林鐘変 | 仲呂商 | 無射羽 | 夾鐘角 | 夷則変宮 | 大呂変徴 | ||
太簇変 | 仲呂羽 | 無射角 | 夾鐘変宮 | 夷則変徴 | |||
南呂変 | 仲呂角 | 無射変宮 | 夾鐘変徴 | ||||
姑洗変 | 仲呂変宮 | 無射変徴 | |||||
応鐘変 | 仲呂変徴 |
按ずるに、律呂の数値はけっして循環しない。それゆえに黄鐘はけっして黄鐘以外の律に従属しない(黄鐘正律が他の律の商・角・徴・羽・変宮・変徴になることはない(*))し、〔黄鐘が宮声となって構成される〕七声音階(黄鐘宮調)の律はすべて正律で、少しも誤差はない(*)。
ところが、林鐘以下の律の場合、〔すべてが正声というわけにはいかず、〕半声が必要となる。(【原注】大呂・太簇が宮になるときは半声が一つ〔変宮〕。夾鐘・姑洗が宮になるときは半声が二つ〔変宮・羽〕。蕤賓・林鐘が宮になるときは半声が四つ〔変宮・羽・徴・変徴〕。夷則・南呂が宮になるときは半声が五つ〔変宮・羽・徴・変徴・角〕。無射・応鐘が宮になるときは半声が六つ〔変宮・羽・徴・変徴・角・商〕。仲呂は十二律の終点で、これが宮になるときは半声が三つ〔変宮・羽・徴〕。)
蕤賓以下の律の場合は、〔半声に加えて〕変律が必要となる。(【原注】蕤賓が宮になるときは変律が一つ〔黄鐘変〕。大呂が宮になるときは変律が二つ〔黄鐘変・林鐘変〕。夷則が宮になるときは変律が三つ〔黄鐘変・林鐘変・太簇変〕。夾鐘が宮になるときは変律が四つ〔黄鐘変・林鐘変・太簇変・南呂変〕。無射が宮になるときは変律が五つ〔黄鐘変・林鐘変・太簇変・南呂変・姑洗変〕。仲呂が宮になるときは変律が六つ〔黄鐘変・林鐘変・太簇変・南呂変・姑洗変・応鐘変〕。)
〔黄鐘以外の律が宮となる場合は〕すべてごくわずかな誤差があり、正しい音ではない。ゆえにただ黄鐘だけが「声気の元」となりうるのである。十二の律、八十四の声があるとはいうものの、すべて黄鐘律が生みだしたものである。したがって黄鐘調だけがいわゆる「純粋中の純粋」なるものである。
八十四声のうちわけは、正律を用いるものが六十三、変律を用いるものが二十一である。六十三は九と七の乗数。二十一は三と七の乗数である。
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